“全国家庭科教育協会の創立経緯”紹介
ZKKは、昭和25(1950)年4月に創立され、その経緯は、小学校家庭科が教育課程からなくなりそうになった時、家庭科の先生方が決起したとされています。機関誌「家庭科」アーカイブDVD1)に納められている創立当時の文書を見ると、小学校だけではなく、中学校の家庭科についても、職業科の一分科ではなく独立した一教科としてほしい旨の要望をしています。高等学校家庭科については、昭和27(1952)年から、陳情・請願を行っています。
昭和24(1949年)年12月26日から、戦後すぐの学習指導要領家庭編(試案)を作成した元文部省の重松伊八郎が、自宅を事務局として理事長に就任して、全国各地の研究会結成の呼びかけを開始し、1年後には33都道府県にZKKの支部となる研究会組織ができています。各地の研究会は、当時の文部省初等教育課長の大島文義氏宛に、小学校の家庭科存置の陳情・請願書を送っています。その陳情・請願書の半数以上2)が、「全国家庭科教育協会」の名前をつけて送られています。また、創立20年後に当時の常任理事が創立当時を振り返って「小中高大が一本になって家庭科教育を振興するために、日本家政学会に小学校の先生も所属するのがいいが、規約上かなわないので、別組織を作って急を要する活動(小学校家庭科存置)を始めよう」3)とあります。昭和25(1950)年3月末に当時文部省通達の中学校「職業・家庭科」について、職業・家庭科を担当する文部省の先生をすべて招聘して講習会を開催しています4)。講習会後、全国大会を開き、昭和25(1950)年4月1日が創立となります。
以上のように、ZKKは、戦後すぐの不安定であった家庭科教育を存続させ、小中高大一緒になって、その時代に必要な講習会を開催するなど、家庭科教育を振興してきた組織です。その後については、HPの「会則と歩み」に掲載されています。創立当時から、年会費(当時は10円)を集金して会の活動を行っています。現在は年会費6000円で、機関誌の発行と研究大会・研修会を中心に活動しています。
どうぞ、この歴史ある全国家庭科教育協会にご入会いただき、家庭科教育についての研鑽を深められますことをお願いいたします。
【引用文献】
1)機関誌「家庭科」アーカイブ(2019) 全国家庭科教育協会 70周年記念事業
2)鹿内瑞子旧蔵資料 Box1.4-1~4-22 Box13.827
3)機関誌『家庭科』No.224-225(1970)p7~9 を要約
4)雑誌『家庭科教育』24巻3号(1950)p43